山登りのプロが教える!岩手山のおすすめルートと楽しみ方|岩手盛岡

山登りって聞くと「慣れた人が行くもの」「山道がツライ」という少しハードルが高いイメージがあるのではないでしょうか?

ここでは、山登りやスキーが趣味で毎週土日に出かけている筆者がおすすめの山登りルートや楽しみ方をお伝えできたらと思います。

今回は筆者が撮影した岩手山の写真と共にお楽しみください。

岩手山の概要

盛岡は、東北北部の都市としては積雪量が少ないものの、非常に冷え込む街である。そんな冬の盛岡で、空気の澄んだ快晴の早朝に北側を眺めると、朝日を受けて真っ白に輝く、巨大な山がビルの向こうに聳えているのである。

県の名前を関する岩手県最高峰(2038m)、岩手山である。あまりに街に近く巨大で、そして美しい山は、人々の営みと一体となり、古くから愛され続けている。また、東北地方の南北500kmを貫く奥羽山脈の最高峰でもあり、名実ともに東北地方を代表する山と言える。

柳沢ルート(距離11.3km、累積標高差1450m)

岩手山はいずれの登山口も標高が低く、最も難易度が低いルートでも1400m以上の標高差を登ることとなる。これは、富士山の吉田ルートとあまり変わらないことから、もし挑戦する予定があるならば、予行演習にもちょうど良い。今回は最も短く、そして多くの人が登る柳沢ルートを紹介する。

自衛隊の演習場西側の林道を終点まで進むと到着する、馬返しキャンプ場がこのルートの出発点である。管理棟には大量の薪が積まれているので、余裕のある人、身体を鍛えたい人は、ここで何本か担いで行こう。

はじめは緩やかな林の中を、それなりの時間をかけて進むと、ようやく0.5合目の看板へたどり着く。おそらく殆どの人は、まだ1割も進んでいなかったことに愕然とするだろう。この山の道のりは長いので、ペース配分を考えじっくりと進む必要がある。

2.5合目で新道と旧道に分岐する。新道は林の中を、旧道はガレ場を進む道となる。天気が良く、暑さが厳しくない日には、旧道を進みたい。ちなみに、この二つの道には何か所か連絡路があるため、途中で乗り換えることも可能である。3合目を越えた辺りからは林を飛び出し、一面岩場の斜面となる。

火山ならではの、遮るもののない一面の眺望は格別で、特に姫神山や早池峰の雄姿は見事である。眺望に比例し、斜度も厳しさを増してくるので、適度に休憩を入れながら進もう。7合目からはようやく急登から解放され、台地状の地形となり、黒く尖った山頂がはっきりと見えてくる。8合目避難小屋で麓から担ぎ上げた薪を下ろし、平坦な道をさらに進むと、不動平に辿り着く。

鬼が城と屏風尾根に囲まれた広大な台地からは、これから向かう山頂が全貌を見せ、その巨大さに圧倒される。山頂までの道のりは砂礫で歩きづらく、非常に急で苦しいものだが、季節によっては一面のコマクサ畑となる。急登を登り切り外輪山に辿り着くとその内側に、均整の取れた妙高岳が聳えている。

登頂意欲に駆られるが、残念ながら、こちらには登山道は通じていない。山頂は、御鉢のほぼ北端に位置する薬師岳である。時計回りに雲の上を進み、辿り着いた最高の展望台からは、独立峰ならではの360度の眺めが広がり、ここまでの辛い道のりへの十分すぎるほどのご褒美となる。

秋田駒ケ岳や八幡平はもちろん、八甲田山や鳥海山まで見渡せる展望台は、東北の中心にいるような感覚が味わえる。帰りには、御鉢の残り半分を巡り、妙高岳の麓にある岩手山神社にお参りしてから下ると良い。

帰りには寄り道をし、網張や玄武の温泉に浸かり、ロードサイドのお店で、名物の冷麺やじゃじゃ麺に舌鼓を打とう。

サブルート

北側の八幡平市から登る焼走ルートは、柳沢ルートとほぼ同じだけの標高を上がることになるが、道中は樹林帯と砂礫帯が長く若干登りづらい。

しかし、第一噴火口からツルハシへ向かう間に、コマクサの群生地があり、他では見られないような大振りな株が、圧倒的な密度で咲いている。花が目当てであれば、こちらから登るのがおすすめである。

岩手山へのアクセス

公共交通機関をご利用の方

JR盛岡駅よりタクシーで馬返し登山口へ(40分前後)

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