教えて小山先生!第24弾の今回は「なぜ人は食べ過ぎてしまうのか?」「食べ過ぎた時はどうしたらいいのか?」そんなお悩みをVells編集部が小山先生に聞いてみました。
正しい知識を身に付けて、健康的な日々を過ごしていきましょう!
小山 啓太
トレーナー歴20年。NATA-ATC。2020年よりエビジムのトレーナーに。
1978年1月22日生まれ。北海道札幌市出身。立正大学法学部を卒業後アメリカに渡り、エンポリア州立大学大学院スポーツ医科学専攻課程と、セントラルミシガン大学大学院運動科学専攻課程を修了。オリンピック選手やプロのアスリートのトレーナーとして活躍。障害者スポーツについて学び、帰国後は群馬大学にて教鞭を取り、運動と脳の働きを研究。2018年英国ケンブリッジ大学での世界教育会議にて最優秀研究発表賞受賞。プロアスリート、モデルや芸能人から一般の方まで幅広く正しい体の使い方、運動法や生活習慣の指導を行っている。
体や脳、運動に関する著書も多数執筆。『0歳からのボール遊び運動 "投げる"が脳と体を育む』『野球選手のTHE肉体改造』『現代社会のスポーツ総合学 1―スポーツとともに生きるエキスパート達の提言 (グリーンブックレット)』他
ヒトはなぜ食べすぎてしまうのか?
200万年の人類の足跡のなかで、今ほど動かない、座りっぱなし、寝転んで人工的なスクリーンばかり見ている生活習慣はありませんでした。
また、産業革命を境に、安価な精製食品が生み出され、多くの国では極めて簡単に食事が手に入り、食べることに事欠かなくなりました。
かつて、食べるために獣を追って何キロも走り回り、悪天や災害に左右されながら穀物を耕し、血みどろの苦労をかけてわずかな実りを収穫し、すべて一から手で生み出す苦労は、ほぼ忘れ去られました。
ボタン一つで食べたいものを選び、玄関先まで歩けば食事が届けられる。もはや歩く必要もなければ、手を動かし作業する必要もなく、極めて簡単に温かい食べ物を手に入れられるようになりました。
現代社会の動かない生活の中で食べ続ければ太る
しかし、人間のからだは、座りっぱなし、寝転がりっぱなし、手も足も使わずにいるように進化してきたわけではないため、使わなければ退化し、脳を含むあらゆる能力が衰退することが危惧されています。
食べすぎてしまうのは、人類が長年にわたり飢えをしのぎ、食事を得ることがいかに困難であったかにも由来すると考えられています。本能が食べることを求め、生存競争に勝つために、からだに脂肪という生命を維持するエネルギーを蓄積するのがヒトの持つ生き抜く能力なのです。
昼も夜も関係なく食べる生活で、夜中に食べ過ぎることも増えた
さらに、電気の発明により、昼も夜も関係なく活動できる「時間」を勝ち取ると、本来、日が昇ると共に活動をはじめ、日が沈むと休む生活であった概日リズムを崩し、食生活や睡眠が乱れて睡眠不足、運動不足、ストレスや消化不良など太る習慣が常態化します。
夜中起きていると脳はすぐに使えるエネルギーを求めるため、糖質を欲し、濃い味のラーメンや、甘いお菓子などが無性に食べたくなります。
食べすぎた時にどうする?
「やるか、太り続けるか」の二択
人のからだは35歳前後を境に毎年1-2%の筋肉を失っていきます。そして60歳をこえると毎年3%の筋肉が失われます。これをサルコペニアと呼びます。
体内の筋肉細胞がやせ細り、脳からの運動神経伝達が鈍りスピードやパワーが失われます。若い頃のような動きができなくなり、頭の中のイメージとはかけ離れて、動きは遅くなり、力は弱くなります。
気づかないうちに筋肉量の低下は進み、代謝を下げ、体力を失い、より動けないからだ、太りやすいからだと変わっていきます。
これに対処する方法は、「やるか、太り続けるか」の二択です。筋肉は使うことで柔軟性を保ち量も維持することができますが、使わなければ、筋肉量の低下は加速してあらゆる能力をどんどん失い続け、結果として太り続け、健康は失われいきます。
少しの運動でもやせる効果は得られる
朗報は、筋肉はいくつになっても鍛えることができるということです。
筋トレと聞くとマッチョを連想する人が多いのですが、筋トレをやったからといってそんなに簡単に筋肉が太くなることはありません。
それに、アスリートのような全身筋肉質なからだにならずとも、健康的で代謝の良いからだは手に入れられます。
「ちょっと食べすぎた!」というときは、迷うことなく、ほんの少しでも良いので必ず運動することです。食べ終えてすぐではなく、翌日で良いので、運動することでエネルギーを燃焼し、蓄積を防ぎましょう。
ゆるい運動を回数多く、習慣として継続しよう
代謝アップして、健康的なからだを維持するのであれば、軽い負荷で回数多く行うトレーニングで筋肉の状態を良くして持久力をつけ、美しい姿勢を支える筋肉を維持することができます。
こうすることでマッチョになることもなく、代謝の高い状態でからだをキープすることができます。
もっとも大切なのは運動習慣です。食べすぎた時や、チートデイの前にだけ運動するのではなく、週に3日は筋トレすることを目指しましょう。
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