コロナの時代だからこそ歩く生活を|哲人ランニング学者からの手紙

前回に続き、ランニング学者の山西先生からコロナ時代の運動との向き合い方を伺いました。また、最後にコロナ時代の自宅運動もご紹介します。

▼第1回インタビューはこちら

ランニング情報-編集顧問 山西哲郎

日本のランニング学者。市民ランニング指導の第一人者。群馬大学名誉教授。東京教育大学大学院体育学研究科修士課程修了。日本体育学会前会長、日本オリエンテーリング協会会長、日本コンチネンス協会会長、ランニング学会元会長、NPO法人日本市民スポーツ海外交流協会副理事長。ランニングの世界編集責任者他、執筆、著書多数。

▽インタビュー記事
「なぜ走るのか」「いかに走るのか」。走ることを通して人生を豊かにするランニングとは。

今年早々から、世界中にコロナ感染症が次第に広がり、今や連日30℃以上の真夏は、ほとんど家に閉じこもりの自宅中心生活。

私も、1年前に退職したばかりで、それまで家に籠って過ごすことが少なかっただけに、3食昼寝?の生活になかなか慣れず、心も体も何となく晴れやかに元気な日々が少なく、今までの生活が変容してきたなと思わざるを得ません。

運動を減らすと体力が無くなる。

書斎

この半年経過した生活変容の一つに、まず、生活のなかで体を動かすことが少なくなったと、万歩計を用いているとよくわかります。免許を持っていない私は自宅を離れてどこに行くにしても、徒歩で電車やバスに乗ることがほとんどで、1日の歩数は1万歩。

しかし、健康科学の専門家からも日中も家に閉じこもっている3密生活は、運動、移動不足で、子どもから大人まで体力が低下してしまったとか、外に出ないから気晴らしができず、憂うつの傾向になっていると報告されると、私の日常の生活感覚と一致すると思えてきます。

それは「第一に適度に動けば体力は向上し、第二に運動を休むと体力は低下し、第三に運動をやり過ぎれば障がいを起こしてしまう」という生物の法則といわれているルーの三原則が浮かび、現代こそ、この法則の第二の生活のなかの運動不足にあることを教えてくれます。

二足歩行は脳と筋肉のつながりができること

成長

さて、人類の時代、他の動物と比較して最も進化できた一つに二足歩行があげられます。それはヒトが誕生してからハイハイ歩きから二足で立ち、歩きながら成長する過程から、人類がホモサピエンス、つまり知性人といわれるまでを知ることができます。

赤ちゃんが体いっぱいに動き始めると、手で握る・つかむ、そして、ハイハイが始まります。1~2 歳で一人で立ち、やがて一人で歩き、 横や後ろに歩き、 そして、 立った姿勢から投げが始まります。それぞれの動きは、段階を追って、一つの動きを身につけることによって新たな動作へと発達していきます。それは、ハイハイから歩くことができることは、実は脳と筋肉のつながり生まれ、脳に回路ができた証なのです。

ハイハイ歩きから立ち歩きになると前に進みたくなる。

赤ちゃん,ハイハイ

ハイハイ歩きとは猫や犬のように四つ足動物の歩き。大人の私たちも、やってみれば、視線は下を向き、手足を動かしてもスムーズに前進できず、呼吸もしにくくて、赤ちゃんは大変だと思ってしまいます。

そこで、四つ足の姿勢から二足で立ってみると、急に視野が広がり、手が自由に動き、体のすべてが解放された気分になってきます。すると、楽になって、前に進みたくなってきます。このきたい気持ちが、人類が自然に身につけた生活のなかでいろいろな身体運動をつくりだしていったのです。

すると、「ウオーキングは体の60兆のすべての細胞が、完全に調和しながら協力して動き出し、心は歌を歌い始め、浮き浮きと宙に舞うのである」と、世界各地を歩きながら、人生の意味を求めていったジェラルド・ドナルトソンの言葉の世界に入っていきます。

生活に歩く時間を・・

 

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しかし、コロナ対応の日々は、三蜜を守らなくてはならなくてはなりません。以前は、外での仕事や活動が多く働きバチのような生活であったのに、今は反対に一日の生活の流れは自分自身のための時間ができたものの、閉ざされた時間のように思って、むしろ、体は動かず、心はイライラしてしまいます。

今、この原稿を書いているのですが、最初は、次々の言葉が生まれてきていたのに、次第に、文章つくりのスピードが落ち、書き直しが多くなってきました。

そのような時、戯曲家のシェイクスピアは、「一回りか二回り、散歩してこよう。波打つ私の心を静めるために」と、外に出て散歩をした一文が浮かびます。京都にも約1.5㎞の「哲学の道」があります。道幅は狭いのですが、春は桜、夏は緑の木陰、秋は紅葉の四季折々の川沿いの道を心や頭が重くなった作家や哲学者や学生らが、現代のシェイクスピアとなって歩いているのです。

ゆっくり進むからこそ見える風景がある。

山道を歩く

私の3密生活は、バスや電車に乗って出かけることが少なくなり、自分だけに関わる時間が多く、私の時計はゆっくり進むようになりました。すると、毎日、ランニングで5kmを30分ほど走っていましたが、今は5㎞を60分で歩いています。

走るスピードの1㎞6分が、歩く方のスピードは倍の1㎞12分。新幹線からローカル線に乗り換えれば、まず気づくのは、窓からの風景が良く見え、通過する自然や町が良く分かり、親しみが生まれ旅する心になってきます。走るは新幹線に対して、歩きはローカル線、周りの風景が明確になり観察力も強く、草木や道端の草花が走りで見えなかったものが良く見えてきます。そして、いろいろな思いや考えが浮かんでくるのですが、多かった心配ごとが前向きの言葉へと頭の中でつくり変えられるのです。

走るより歩くことが、私の最も得た3密生活での成果であり、今後の人生にも持ち続けたい習慣だと思っています。

これからは、夏過ぎて始まる多色の秋の風景と対話しながら過ごしたし。

参考|コロナの時期に脳×身体×心を調和させる簡単運動!

コロナ対応運動。運動によって体と心の調和、脳力もしっかりと。生活のなかに歩きを中心に生き生きさせる運動を取り入れること。

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Vells 編集部

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