夏になると過激な食事制限や根拠のないダイエット食品などに陥る方を多く見受けます。
今回は、小山先生に「食事制限はなぜおすすめできないのか?」「食事制限が成功しない理由」など分かりやすく教えて頂きました。
この記事を読んで、正しく健康的なダイエットライフを楽しんで頂きたいです。
小山 啓太
トレーナー歴20年。NATA-ATC。2020年よりエビジムのトレーナーに。
1978年1月22日生まれ。北海道札幌市出身。立正大学法学部を卒業後アメリカに渡り、エンポリア州立大学大学院スポーツ医科学専攻課程と、セントラルミシガン大学大学院運動科学専攻課程を修了。オリンピック選手やプロのアスリートのトレーナーとして活躍。障害者スポーツについて学び、帰国後は群馬大学にて教鞭を取り、運動と脳の働きを研究。2018年英国ケンブリッジ大学での世界教育会議にて最優秀研究発表賞受賞。プロアスリート、モデルや芸能人から一般の方まで幅広く正しい体の使い方、運動法や生活習慣の指導を行っている。
体や脳、運動に関する著書も多数執筆。『0歳からのボール遊び運動 "投げる"が脳と体を育む』『野球選手のTHE肉体改造』『現代社会のスポーツ総合学 1―スポーツとともに生きるエキスパート達の提言 (グリーンブックレット)』他
一生懸命働いているのに、どうして美味しいモノ食べるのまで我慢しなきゃいけないの!!怒
2021夏、これからトレーニング始める方で、痩せたい!と思っている方のためのコラムです。
間違いなく痩せるための方法をお話しする前に、とっておきの秘訣をお話ししたいと思います。
ダイエットの秘訣はいつもハッピーでいられる習慣をつける
第一に痩せるためにもっとも大切なのは、あなたが幸せであることです。必ず失敗し、リバウンドする最悪のダイエットとは、あなたが幸せを感じられない方法で行うことです。
痩せるということは、代謝を亢進し、運動効率を高め、心身の健康を促進することに繋がらなくてはなりません。健康でいること、ハッピーでいることが大前提なのです。
食べること、寝ること、運動することといった痩せるための活動すべてが、あなたにとって良い習慣として生涯にわたり根付くことがカギになるのです。
食事制限してはいけない理由
あれもダメ、これもダメと何でもかんでも食べるモノ、食べる量を無理矢理制限してどう感じますか?楽しいですか?幸せですか?
ダイエットの80%は失敗するという大きな原因の一つが「食事制限」です。急に摂取カロリーを抑えてしまうと、いつも疲れが残り、イライラと怒りっぽくなり、さらに、カロリーを抑えただけでは体重が減るのにも限界があり、ある一定値よりは減らなくなります。
特に、2020年から続く自粛生活でストレスを抱え、食べすぎてしまった方などに食事制限のアプローチは相応しい方法とは言えません。
すべてはバランス
ものすごく基本的なことなのですが、忘れがちなことです。生物としてヒトは生きるためにエネルギーが必要ですよね。食べることは必要なことであり、それは単にエネルギーを摂取するためだけではなく、人としての生の幸福や、他者との絆を深める社会性などに直結します。
ハッピーに痩せるためには生きるために必要なエネルギーと取り入れるエネルギーのバランスを上手に保つことができれば良いわけです。エネルギー、言い換えるとカロリーの消費と摂取のバランスにより体重増減に影響するということが大前提です。
摂取カロリー > 消費カロリー(活動代謝) = 体重が増える
摂取カロリー < 消費カロリー(活動代謝) = 体重が減る
これを食べれば痩せる!という魔法の食品など存在しない!
ヒトのからだにはタンパク質、糖質、そして脂質とすべて必要です。これだけ食べていれば大丈夫というものは存在しませんし、簡単手頃に摂取できるダイエット食品で短期間に痩せることはリバウンドの原因になり、さらに便秘、倦怠感、イライラなどさまざまな心身の健康を害するリスクも高まります。
同様に、好きなものを食べる際にも、どのような栄養素が含まれているのか、どのような材料で作られているのか、どのくらいが適量なのかをよく考えてから食べるように心がければ減量の妨げにはなりません。
【摂取カロリー】何をどのくらいの量食べると快適なのか?
単純にカロリー計算だけで考えてしまうことがダイエットを難しくし、かつ栄養が偏り不健康になり、不幸な結果を招くことになります。カロリーという数字よりも何を摂取することが自分の心と体を健康にしてくれて快適に過ごせるのか?どのくらいの量を食べると心も体も元気に過ごせるのか?そこを重要視するべきです。
体は正直ですから、食べすぎたり(または飲みすぎたり)、高糖質高塩分であったりすれば胃腸がもたれ、むくみが現れたり反応します。その反応に気づいて、何をどこまでかを理解した上で、快調な状態で過ごせる食生活を無意識のうちに続けられるように、まずは意識的に食品表示を見たり原材料を調べたりしてみましょう。
【消費カロリー】より多くのカロリーを消費するにはどうするか?
たくさん運動すればカロリーを燃やせると考えている方が多いようですが、それは間違っています。カロリーを最も消費するのは日常生活です。どんなに運動でカロリーを消費しても、日常生活での代謝を効率的にしなければ体重は減りません。先行研究では、ダイエットに挑むほとんどの人は実際よりも多くのカロリーを運動で消費できていると錯覚しているとしています。実際には、一回の運動で消費できるのは白米お茶碗一杯程度です。
では、食事はまったく気にせずに日常生活の代謝を上げてトレーニングだけやっていれば良いかというとそうではありません。トレーニングは体重維持には役立つかもしれませんが、健康的に体重を減らし痩せたいのであれば、何を食べるのか?の選択を正す必要があります。大好きなお肉を食べるにしても、何の肉のどの部位を食べるのかで大きく違います。食べられる量は決まっていますから、穀物、野菜、果物などバランスよく栄養を摂取することが大切です。
健康に痩せるためのハッピーダイエット知識!
ハッピーダイエット①遺伝子により固有の体質があるが、筋トレは痩せ効果が高い
ダイエットは体重計の数字や体型ではなく、健康と運動を軸に考えるべきです。体重や体型はそれぞれの遺伝子に依存するところが大きく、体質によって脂肪を溜め込みやすかったり、筋肉質になりやすかったり固有の特性によって差が出ます。したがって同じようにダイエットを始めたとしても、同じように痩せることはなく、人によっては痩せたい部分の脂肪が落ちにくかったりするのは当然のことです。
しかしながら、全員に当てはまることは、筋トレにより筋肉が増えれば代謝の改善や体力向上など健康状態を改善できる可能性が高いということ、ひいては体重をコントロールしやすいということです。
ハッピーダイエット②食料品の買い出しはお腹が満たされている食後に行こう
成功するダイエットとは、快適に生きられる良い習慣を身につけていくことです。痩せるために運動するのではなく、動くと気持ち良いから運動する、季節感があって美味しいから旬の物を食べるなどです。
他にも、お腹が空いている時に食品を買いに行けば余計なものやカロリーの高いものまで買ってしまいます。食品の買い出しはお腹が満たされている状態で行き、本当に必要な物だけ買いましょう。
仕事中お昼に外食する際など、お腹が空いている時は、①お水をコップ一杯飲む、②飴を舐める、③軽くストレッチして体を動かす、などで空腹ホルモンを抑えて思慮深く本当に必要な量と質の適切な選択ができる状態で食べに行きましょう。ただし、痩せたい方のベターな昼食の選択肢は自作のお弁当などであらかじめ必要な質と量の物を用意しておくことです。
ハッピーダイエット③トレーニング以外の日常生活の中での動く量を増やそう
週に3回60分のトレーニングをしたとしても日常生活の中での消費カロリーには遠く及びません。だからこそ、起きている時間の活動をアクティブに過ごしましょう。いつもより少し多めに歩く、階段を使う、大きく動いて掃除をする、1時間に一回は椅子から立ち上がる、トイレに行く際にストレッチする、お風呂の前に1分間トレーニングする、などなど、毎日少しづつで良いので動く習慣をつけて、「ながら運動」を活用しましょう。
美味しいものを食べることのススメ
大好きな物を食べることはとても大切なことです。ただし健康でいなければ好きな物を食べられなくなったり、可愛い洋服が着れなくなったり、体力が落ちてしまったりするかもしれません。
よく考えて食べさえすれば、それはあなたの人生をハッピーにしてくれます。心が安定していなければ日常的な活動量も増えませんし、トレーニングをするモチベーションも上がりません。大好きなものを食べてハッピーでいることが長期的に体重をコントロールし心身ともに美しくいるための秘訣なのです。
毎日一生懸命頑張っている自分に美味しいご褒美をあげて、日頃の正しい選択、良い習慣を身につけてハッピーダイエット成功しましょう!