私が山に登る理由 - ジュエリーブランド YURI MIYATA 宮田有理さん -

宮田有理

YURI MIYATAデザイナー。
愛知県の洋食器会社のデザイナーを経て独立。ジュエリーブランド「YURI MIYATA」 主宰。
山の自然をテーマにした作品を展開している。

自然からインスピレーションをもらい、心を整える。

私にとって山登りは、自然からインスピレーションをもらう時間であり、普段のものごとに対する考え方を整理したり、暮らし方を見直す時間になっているような気がします。山登りは辛そうな印象を抱く方もいると思うのですが、植物の写真を撮ったり綺麗な景色を眺めたり、一歩一歩自分のペースで歩きながら楽しい時間を過ごしています。

photo by : YURI MIYATA

山の植物は見たことのない特徴のある形や、同じ植物でも季節によって全然違った表情をしているので、そういった形を見つけたり観察する時間がとても面白いなと感じます。ふと見上げたときの美しい景色を写真に収めたり、道ですれ違う方と挨拶したり、頂上に登るというよりもそこに至るまでの出会いがとても好きです。また歩いているときは無心になっていることが多いのですが、そういった時間がなんだか自分の中で普段の物事や考えを整理する時間になっているみたいで。下山すると不思議と考えがすっきりしていて、また気持ちよくいつもの毎日に戻ることができます。

富士山の頂上から見た忘れられない風景。

最初に山に登ろうと思ったのは、25歳の時に富士登山のツアーに申し込んだのがきっかでした。当時周りに富士山に登ったという知人が多く、せっかくなら自分も一度は日本一の山に登ってみたいな、と思いツアーに申し込んだのが始まりでした。ザックと靴とレインウェアなど、山に登るための最低限の装備を揃えて、あまり山の事を深く知らずに初めて富士登山に挑戦しました。今思うとよく登ったものだなと思います。

photo by : YURI MIYATA

富士山の5合目からインストラクターさんと一緒に登って、8合目の山小屋で仮眠をとってから深夜にまた出発して、頂上でご来光を眺めました。当時は初めての登山だったので、山小屋や登山道での混雑や、身も凍るほどの山頂での寒さなど、全てが新鮮な体験でした。また富士山はさすが日本一の山。頂上から眺めるご来光は息を飲むくらい綺麗で、周りには一面見事な雲海が広がっていて、心に刻まれるような景色を目にすることが出来ました。いまでも本当に良い経験だったと感じています。

そこからせっかく装備を揃えたのでほかの山も登ってみたいなという気持ちが芽生えて、日帰りの登山からテント泊まで、段々と山登りの魅力にはまっていきました。そのうちに海外でもトレッキングを経験してみたくなり、ロングトレイルのメッカでもあるアメリカのヨセミテ国立自然公園やアイスランドまでトレッキングに行ったりもしました。どの山もそれぞれの魅力があって、山の数だけ素敵な思い出が詰まっています。

山登りは自分に合った楽しみ方が見つけられる。

私は体力は無い方ですが、植物を眺めたり綺麗な景色を写真に収めたりしながら、自分のペースで自分にあった登り方を楽しんでいます。頂上を目指さなきゃいけないというわけでもないですし、自然に囲まれた道を気持ちよく歩いたり、山小屋の美味しい食事を楽しんだりしながら。自分自身の体力や、好きなことや興味のあることに合わせて様々な楽しみ方を見つけられるような気がします。

photo by : YURI MIYATA

登山を始めた当初は、とにかくいろいろな山を歩いてみたくてタイトな予定を立てて登っていたりもしたのですが、ある山で素敵なご夫婦に出会って考えが変化しました。どこまで歩くのかとちょっとした会話になったときに、「山頂で一泊して、次の日の気分次第でさらに奥の山まで向かおうかなと思っているのよ。」と楽しそうにお話されていて、時間にとらわれずにのんびりと過ごしている姿にとても惹かれました。それ以来私も無理せずにゆったりしたスケジュールで登るスタイルに変わっていきました。日程に余裕を持たせて植物を観察したり、体調や天候次第でもう一泊してみたり、その時々に合った楽しみ方を大切にしています。

これから山に登ろうと思っている女性に向けて。

ぜひ自分に合った山の楽しみ方を見つけてもらえたらいいなと思います。景色を楽しんだり、山頂での料理に凝ってみたり、山小屋でゆっくり過ごす時間を大切にしたり。私が山で出会ったり、山を通じて知り合った方はみんなそれぞれで自由に山の楽しみ方を見つけているように思います。

photo by : YURI MIYATA

登山を知らない頃はみんなが同じルートをただ単純に歩いていくというそれだけの印象しかありませんでしたが、頂上までの道のりは同じでも、その中でどんなものを見てどんな経験をするのかは人によって様々です。気負わずに自然の中に身を置くことで、きっと心も身体もすっきりするのではないかと思います。

また、ライフスタイルや年齢によって興味のある物事や体力、周りの環境も変わってくると思うのですが、その時の自分にあった山の楽しみ方を見つけられるととても楽しいだろうなと思います。どんな人でも楽しめる魅力が山にはありますし、自分にとっても山と関わって行くことはライフワークのようなものだと思っています。

自然から感じる思いをかたちに。これからの森づくりのこと。

山で見つけた植物や景色、それから実際に歩いてその場で感じたことを大事にしながらデザインと制作を行っています。ゆっくりと歩く山は、普段の生活より小さなことに気づくことができます。足元の小さな植物のフォルムや、木々の間から差す光の繊細さなどに心を動かされながら忘れないようにと。何気ない瞬間を記憶に留めそのときに感じたことを街に戻っても思い出し、考えながら作品の制作を続けています。身につける方の生活の中で、山や自然の空気を感じてもらえる存在になれたらとても嬉しいです。

photo by : YURI MIYATA

最近は自身のブランドとは別に、森づくりのへの取り組みに参加するようになりました。台風でたくさんの登山道が崩れてしまったニュースを見て、いつの間にか元どおりになっている登山道やずっと守り続けられている山の自然は誰がどうやって管理しているんだろうと、ふと気になったことがきっかけでした。私は山の自然や景色からたくさんのものをもらっているので、今度は自分自身からも何かを返したい。そんな思いから森林保全の活動に参加するようになりました。今年YURI MIYATAとして手ぬぐいを制作したのですが、売り上げの一部は森へ寄付されるようになっています。

photo by : YURI MIYATA

今後も自身の活動を通して日本の山や森、そして自然を守っていく活動に少しでも貢献できたらなと考えています。そして豊かな山の自然が、これからもずっと続いていくと嬉しいです。

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あなただけの山の楽しみ方がきっと見つかる。

photo by : YURI MIYATA

山の楽しみ方は本当にたくさんあると思います。物に溢れている日常から離れるからこそ、小さなことでも山では大きな喜びに感じます。心地良いと思う、自分に合った山の楽しみ方をぜひ探してみてください。

  • この記事を書いた人
vells編集部員 キクチ

vells編集部員 キクチ

たくさんの人に楽しんでもらえて思わず運動したいと思ってもらえるような、そんな気持ち良い毎日が過ごせる情報を日々発信してゆきます。

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