スポーツウェア選びの極意は"3F”!元NIKEトップデザイナーがプロおすすめの方法を伝授

スポーツウェアの選び方

スポーツウェアを買う際にはどう選べばよいのでしょうか?

見た目・価格で選ぶ方も多いですが、結論から言えば、Fabric(素材)×Function(性能)×Fit(着心地)のバランスをとったウェアがコスパ・運動性能の観点でおすすめです!

この記事ではNIKEでスポーツアパレル部門のトップデザイナーを務めたMorita氏が「スポーツアパレルのプロがおすすめするトレーニングウェアの選び方」をご紹介します。

この記事の作者

Kei Morita

デザイナー・Kei Morita 

カリフォルニア州立大学でデザイン学部を卒業後、パリのデザイナー学校を主席で修了。その後、イブサンローランに師事しアパレルデザイナーとしてパリで活動。「次世代トップデザイナーアワード」を受賞後、米国へ戻りNIKEメンズアパレル部門のデレクターに就任。以降、Vansデザインディレクターを経て、Arc'teryxMissionWorkshopなどスポーツ&アウトドアブランドのデザインを手掛ける。日系5世。

「スポーツウェア選び」は「普段の服選び」とは異なる。

スポーツウェアで走る人

スポーツウェアはファッションアパレルと異なり、可動性、耐久性、撥水性、通気性、速乾性、防臭性など多機能であることが求められます。

どのようなスポーツ、運動を、どのレベルで行うとしても、身に付けるものによってパフォーマンスも気分も変わりますので、単純に「かわいらしい」「かっこいい」と言う基準で選ぶべきではありませんかといってお店やオンラインショップには無数に選択肢がありますので、どれを選べば良いか迷ってしまいます。

そこで、お金を無駄遣いせずに、気分良く着こなし、いつも以上に動けるスポーツウェアの選び方を、作り手側からアドバイスしましょう。スポーツウェアを買い求めるときに、チェックする部分は無数にあるのですが、ここでは、基本となる3つのポイントをお教えします。

この3つをチェックすることでかなりの確率でベストチョイスにたどり着けるよになるでしょう。

スポーツウェアを選ぶ極意は「3F」のバランス

3Fとは「Fabric(素材)」「Function(性能)」「Fit(着心地)」の頭文字です。

それぞれを説明していきます。

1「Fabric」素材:何で作られているのかを確認せよ!

スポーツウェアの素材

スポーツウェアのトレンドは新たな素材開発によって大きく左右されます。

NIKEのように世界中で最新の科学技術を用いて実験、検証して新たな素材を開発している企業は、一見して同じような物であっても、毎年その性能が異次元に変化していきます。

最新のファブリックには、肌触りの良さ、撥水性、水分吸上性、防臭性などあらゆる課題を乗り越えた多機能素材が出てきています。

ですので、ご自身が手にとったウェアの素材が何であるのかは必ず確認するようにしてください。一般的なポリエステル素材が多ければ汗臭くなりやすいなど、せっかく購入しても、素材次第では長持ちせず、すぐにダメになってしまう可能性があります。

▼有名ブランドのテクノロジー素材例

ブランド NIKE adidas PUMA
素材名称 Dri-fit .RDY(レディ) DRYCELL
概要 高性能マイクロファイバー構造のテクノロジー素材。 熱(HEAT)、寒さ(COLD)、雨(RAIN)、風(WIND)の問題を解決する為のテクノロジー素材 コットン・ポリエステル・レーヨンのトリブレンド素材
期待効果 ・自然な体温調節。
・汗を逃がして乾きやすい。
・風、小雨の衣服内への侵入をブロックする
・空気を取り込み身体を冷却
・熱を逃がす繊維を使用
・汗を吸い上げ、素早く拡散
・吸水、速乾
・軽量

2「Function」性能:どんな運動での機能を求めるか?

多種多様な運動の図

そのスポーツウェアを着てどのような運動をするのか?どのような気候の中で動くのか?具体的にイメージしてみましょう。

その上で、どのような性能のウェアを求めるべきなのか答えが見えてきます。

汗が出る種目なら速乾性・抗菌性・防臭性

スポーツウェアですので動きやすさなどのベーシックな性能はもちろんですが、汗をたくさんかくような環境であれば「wicking」と言われる汗を吸収して留めずに外へ放出する性能に優れているもの、あるいは匂いを防ぐもの、さらに抗菌性があるものなど、最新の科学技術を生かした機能性に富んだ物を選ぶべきでしょう。

トレッキングのような湿度が高い種目なら撥水性!

湿度が高かったり雨風に強いものが必要であれば、撥水性や保温性が必要かもしれません。

こうした最新の高性能をもつ物は価格は高くなってしまうかもしれませんが、長い目で見ると持ちも良く、最終的に安価になる場合も多いですし、何よりも日常生活の中で気分良く運動する助けとなります。

3「Fit」着心地:SMLではなく実際に試着すべし。

ピッタリ引き締まったスポーツウェア

多くの方は自分のサイズ(S・M・Lなど)でフィット感を確認して選んでおり、本当に自分の動きや体型にあっているかを吟味して毎回購入している人は少ないようです。

サイズはバラバラなので着て動いてみる。

第一にサイズはブランドや物によって異なります。自身の現在のからだのサイズ(胸囲・腹囲・腕の長さ等)を把握した上で、フィットしているかは、試着し、動いてみることがベストです。それができない場合は、サイズではなく、それぞれのウェアの丈、胸囲部、腹囲部、肩幅を測り、自身のからだと合わせてみることです。

上下左右の伸縮を妨げない素材

また、大きさと同じように重要なのが伸縮性です。スポーツウェアのキーポイントは4方向(上下左右)への伸縮性があることです。上下左右に自在に伸びる生地や縫製で作られていることでさまざまな動きに対応できますし、着心地が良くなります。

ウェアは肌に触れるものですので、自分の肌に合っている素材、デザイン、縫製で作られていることも重要なチェック事項です。とりわけ素材の繊維の走り方や、縫製の仕方は手にとって見れば分かりますので、裏返しにして必ずチェックして欲しいです。

 

スポーツウェアの最新トレンドを知るには?

 

スポーツアパレルのトレンドは最新の科学技術による新たな素材の開発に大きく影響を受けます。研究により、より着心地が良く、高性能で、抗菌防臭などに優れている物がどんどん出てきます。

私がデザインディレクターを務めたMissionWorkshopでは、素材や性能、縫製の工程一つ一つにこだわり抜いて、すべての製品を届けていますが、その上で、持ち主が栄える物であること、美しさを追求して作っています。

身に付けるものとは、あなたを美しくもすればその反対もしかりです。スリムフィットなウェアを着れば自然と体型が現れます。その体型の現れ方も、素材、縫製、デザインによって大きく異なることを知ることが大切です。

一つ言えることは、世界的なスポーツアパレルメーカーはどこもしのぎを削って次世代の素材、最先端の高性能製品の一番手となるべく追求しています。そして、そのスピードはとても早く、毎シーズン違う分野で新たなものが生まれています。ぜひこれらの新たなテクノロジーには関心を持っていただきたいと思います。

Kei氏が手掛けたアパレルコレクションの一部

MISSION WORKSHOP公式サイト

 

日本人が海外有名ブランドのスポーツアパレルを選ぶときのポイント?

米国スポーツアパレルには、それぞれに歴史、変遷、伝統、そして文化があります。まずはそのバックグランドを感じて欲しいと思います。そのバックグランドが元になって物が生まれているからです。ですので、ブランドによって機能性やルックスも大きく異なります。

自身が求めているウェアが、どのバックグランドの元に生まれた物と合致し相応しいのか、感じてください。それぞれのブランドは理念を持ち、アンバサダーのアスリートやミュージシャンなどを抱え、世の中にメッセージを送っています。

それは単純な美しさや格好良さではなく、各ブランドが何を届けたいのかを表しているのです。そのメッセージを読み取り、自身のライフスタイルや、自分自身の幸福に重なり、プラスに働くのかイメージしてください。

「自分に自信を与えてくれるウェア」を選びましょう

例えば、アメリカンスポーツアパレルはサイズが大きめでゆったりした物が多かったりします。これはアメリカの文化やスポーツの歴史の中でそのような傾向になったと言えるでしょう。世界のそれぞれの国や地域でデザインも縫製も異なります。

アメリカの有名スポーツブランドの物が果たして日本人の体型や、日本人の動き、日本人のライフスタイルにそのままフィットするでしょうか?よく検討することも大切かもしれません。

ブランドネームだけで購入するのではなく、そのウェアの本質や、企業の思い、デザイナーの魂を感じて、その上で自分が幸せを感じられる物、自分が気分良く過ごせる物、今のあなたに自信を与えてくれる、もっとも相応しい物を見つけてください。

 

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Kei morita

イブサンローランに師事しアパレルデザイナーとしてパリで活動。「次世代トップデザイナーアワード」を受賞後、米国へ戻りNIKEメンズアパレル部門のデレクターに就任。以降、Vansデザインディレクターを経て、Arc'teryx、MissionWorkshopなどスポーツ&アウトドアブランドのデザインを手掛ける。

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